医療現場における業務効率化や省人化の有効な手段として、薬剤や検体を運ぶ自律走行型搬送ロボットの導入が進んでいます。しかし、多層階にわたる病院内をロボットが縦横無尽に移動するためには、障壁となる「エレベーター」および「セキュリティ自動ドア」との連携が不可欠です。
本記事では、システム担当者や施設管理者が知っておくべき連携の基礎、導入難易度、および注意点について解説します。
ロボットが人の手を借りずに階移動を行うためには、ロボットのシステムからエレベーターに対して「呼び出し」「行き先指定」「ドア開閉の確認」といった指令を送る必要があります。これらを実現するための技術的なアプローチはいくつか存在します。
現在多く採用されている連携方式は、大きく以下の3つに分類されます。
ロボットの管理サーバーと、エレベーターメーカーが提供するクラウドサーバーをインターネット経由でAPI接続する方式です。物理的な配線工事が不要、または最小限で済むため、スマートビルディング化が進む新しい病院で採用されるケースが増えています。
エレベーターの制御盤や操作盤に対して、ロボットと通信するための専用アダプター(IoTボックスなど)を後付けで設置する方式です。ロボットからの信号をアダプターが受信し、電気的にボタンを押したのと同様の信号をエレベーターに送ります。
ロボット本体から近距離無線(Bluetooth等)や赤外線信号を発信し、エレベーターホールやカゴ内に設置した受信機と直接やり取りをする方式です。
連携の難易度は、病院の建設状況(新築か既築か)とエレベーターのメーカーによって大きく異なります。
設計段階からロボット導入を前提としている場合、メーカー純正の連携機能を持つエレベーターを選定できるため、スムーズに導入可能です。ロボット連携機能(API)を標準搭載したエレベーターであれば、開発コストも抑えられます。
既存のエレベーター制御盤に手を入れる必要があるため、エレベーター保守会社との調整が必須となります。メーカー保証の兼ね合いで改造が許可されないケースや、高額な改修費用が見積もられるケースがあります。
実際に運用を開始するにあたり、以下の技術的および運用的な課題をクリアする必要があります。
クラウド経由で連携する場合、数秒のタイムラグが発生することがあります。ドアが開いているにもかかわらずロボットが動き出さない、あるいは閉まりかけのドアに突っ込んでしまうといった事故を防ぐため、ドアの開閉保持時間を長めに設定するなどの調整が必要です。
病院内は遮蔽物が多く、Wi-Fiの電波が届きにくいエリア(死角)が存在します。特にエレベーターのカゴ内は電波が遮断されやすいため、カゴ内へのアクセスポイント設置や、LTE通信の併用など、通信断絶を防ぐ対策が求められます。
エレベーターには患者様やスタッフも同乗します。満員時にロボットが無理に乗車しようとしない制御や、緊急搬送時(専用運転モード)にはロボットの呼び出しを無効化するといった、病院特有の運用ルールをシステムに組み込むことが重要です。
病院の規模や運営体制によって、搬送ロボットに求められる機能や導入のハードルは大きく異なります。大規模病院では一度に多くの物品を運べること、中小病院ではすぐに使える手軽さ、無床クリニックでは限られた人員で診療時間を最大化することが求められます。
そこで、このメディアでは、病院の規模ごとの課題に応じたおすすめの搬送ロボット3選を紹介します。

最大200㎏積載可能で、病棟間を巡り検体・医療器具・滅菌物などを効率的に運搬。スタッフの往復作業による業務負担を大幅に低減します。
搬送ルート・部署連携・セキュリティ制御まで搬送業務を効率化。無理なく導入でき、持続的なロボットによる搬送体制を構築できる。
| 本体サイズ (mm) |
467×880×1,520 |
|---|---|
| 積載/牽引(kg) | 最大200 |
| 時間(h) | 充電:2.5 走行:8 |
| セキュリティ 連携 |
エレベーター:〇 ドア:〇 |
| セキュリティ 対応 |
パスワード・ICカード・指紋認証・顔認証 |

初期設定が容易なため最短10日で導入が可能。最小限の人数で運営する中小病院でもすぐに活用でき、スタッフの時間を確保しやすい。
ボタン操作やカード認証はAI制御のロボットアームで実行。エレベーターとのシステム連携が不要で、既存の設備のまま短期運用もできる。
| 本体サイズ (mm) |
500×540×1,150 |
|---|---|
| 積載/牽引(kg) | 最大30 |
| 時間(h) | 充電:公式HPに記載なし 走行:最大24 |
| セキュリティ 連携 |
エレベーター:〇 ドア:〇 |
| セキュリティ 対応 |
アームによる カードタッチ |

患者対応中にロボットが搬送を担い、医師は診療を中断することが減少。待ち時間を減らし、診療の質が高まり満足度向上につながります。
kachakaは最小55cmの通路幅でも走行可能な小型タイプなので、都心部の歯科クリニックや耳鼻科などの狭い空間でも活用・収納が容易。
| 本体サイズ (mm) |
240×387×124 |
|---|---|
| 積載/牽引(kg) | 最大30 |
| 時間(h) | 充電:2.0~ 走行:2.0~ |
| セキュリティ 連携 |
エレベーター/ドア: いずれも公式HPに 記載なし |
| セキュリティ 対応 |
公式HPに記載なし |
※初期費用や月額費用に関しては、公式HPより直接お問い合わせください。